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目指すは「分かるお芝居」 ① [舞台]

 初演を振り返っているうち、7月も後半。再演まで残り3カ月余りとなった。「再演にあたって」を語ることにする。

 我々の作品づくりのコンセプトは一貫している。「初めての方がご覧になっても分かるお芝居」。「分かる」とは「お話が分かる」ということである。「ストーリーの明快さ」と置き換えてもいい。そのために俳優、スタッフは総力を絞る。

 今年観に行ったあるお芝居でのこと。1幕が終わった時、隣の高齢のご婦人に尋ねられた。「これはいいお芝居なんですよね?」。一瞬、言葉を探しながら、「…、ええ」と答える私。「ちょっと私には分からなくて…」。彼女は恐縮したように続ける。私は「少し難しいお話しですし、表現の約束事もあるので、分かりにくいところがあるかもしれませんね」とフォローした。

 実際の舞台はと言うと、出演者たちは好演しているし、作品の質もかなり高い。だが脚本のテーマが壮大であり、ストーリーの運び方は難しい。演出も芸術的と呼ぶにふさわしい頂(いただき)を目指している。それほどお芝居の愛好家とは言えないであろう高齢のご婦人が楽しむには、少し敷居が高かったのかもしれない。

 それでも私は思う。たとえ難解な作品であろうと、彼(か)のご婦人が「分かりやすく、感動する作品」を創りたいと。

 演劇は生(ナマ)で観客に届けるしかない。その場一回限りという点において映像とは決定的に違う。観客の反応は演じてである俳優にリアルタイムで起こり、演技のやり直しはきかない。お金を払って劇場に足を運ぶ観客が「来て良かった」「観て良かった」と思うには、「分かりやすさ」は必須の入り口だ。

 俳優は、「分かるお芝居」を創るために、以下の3つに留意して日頃からの鍛錬を行ない、舞台に臨まなければならない。

 ・何を言っているか分かる(言葉)

 ・何をしているか分かる(行動)

 ・どんな思いなのか分かる(情感)

 では、「分かるお芝居」を創るために、演出家である私がすることは?

 


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