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みずみずしき若人たち 2006年9月9日 [TBS]

新緑の頃だったか。「新人アナウンサーのボイストレーニングをお願いしたい」。TBSの中堅女性アナウンサーの方から突然お電話を頂いた。

「私は俳優を育てるのが仕事なので畑違いでは」と申し上げたが、数日後、同僚の方を連れられて羽鳥塾の演技レッスンを見学にいらした。

「この腹式発声を新人に教えて頂きたい」。他所の教室も見学されてのご依頼。その後、お忙しい中、二度も足を運んで頂くという真摯なご姿勢に対し、私としてはお断りする理由はなかった。

新人は女性2人。男性1人。トレーニングのテーマは「腹式発声」。彼ら自身が綴る研修日誌は「
TBSアナウンサー通信 いとみずみずしき日々」でのぞくことができる。


初回のレッスンこそ手探りではあったが、結局は俳優へ課すのと全く同じトレーニングを行なった。お腹系では「拝み倒し」等によるベルトラインの膨らまし。咽頭系で「ロックのア」「ロックはずしのア」「ロング」「ノーマル」。全身系の「ジャンプ」「ジョギング」等々。

さらに「手切り」や「刻み込み」「仕分けのマイム」「イメージの支え」まで踏み込んでいった。後半は実際のニュース原稿読みや詩の朗読も行い、短期間ではあるが真に充実したレッスンだった。

3人の吸収力は水が沁み込むようで、目を見張るばかり。確実に彼らの技術は進歩していった。アナウンサーと言えば、花形職業、志望者は断然多い。相当数の難関倍率を突破しての選りすぐりメンバーである。頭脳明晰、人格円満は当たり前か。

しかし一番感心したのは「素直(すなお)」ということだった。だからこそ私の言葉が沁みていく。逆にこちらが嘘を言えば、すぐに見抜く頭脳も持っているから怖い。羽鳥塾でと同様、私も真剣だったが、彼らも自分の頭で考え、喰らいついてきた。2ヶ月があっと言う間に過ぎ・・・、私のレッスンは終わった。

8月に入り、「12日の土曜日に番組で新人を紹介します」と知らされた。3人のデビューである。その日の私はラッキーなことにオフ。テレビの前に座った。

「出た!」と思った瞬間、私自身が緊張している。もちろん彼らだって「ど緊張状態」。「あーあ、あんなバカなこと言っちゃって!(冷や汗) ナニ、ご愛嬌、ご愛嬌(苦笑)。あら、何だ、その表情?!(呆然) まっ、いいか・・・(諦観)」。

わずか数分の登場なのに、私はジェットコースターに乗った後みたいな疲労感を覚えた。3人を紹介する先輩アナウンサーが心配そうに見守っていたのも印象的だった。

今回の新人研修。テレビ局をあげて彼らを大事に育てようという暖かさが感じられ、まさに幸せ者の3人だった。
私は改めて彼らに教わった。「モノを覚えていく姿勢」。有難う、みずみずしき若人たち。


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